一般社団法人 発達支援研究所の山本登志哉所長とのご縁を頂き、
同研究所の渡辺忠温主席研究員と、自閉当事者で発達障がい児支援事業の児童指導員でもある大内雅登非常勤研究員が中心となって開発している「逆SST」なるものに挑戦しました。この取り組みは、東京大学の当事者研究にもつながっており、貴重な機会を頂けたこと、嬉しく思います。
逆SSTとは。
「Social Skills Training」でSST。
社会で生活するのに必要な対人関係調整や、対処法やルールを学習する。「社会生活技能訓練」ともいわれます。
認知や思考の特性により、対人関係に困り事が多い方々が、「こんなときどうする!?」なんて感じで学習していくわけです。つまり、発達に凸凹がある方々が、定型の人数が多い世の中で、生きやすくなる技術を身につける。「逆SST」とはその逆…。定型方面の人が、発達凸凹がある人々の、見え方や感じ方、認知の傾向について学んでみようという試みです。
手法としては、当事者の方が出す問題に答えていくのですが…。これがなんとも難しく…3人の回答者が質問したり、あれやこれやと考えあぐねるわけでして…。
脳みそフル回転で、アレコレ考えてみたものの…そう簡単に正解はできないわけなんですが…。
詳しくは、ぜひこちらのyou tubeをご覧ください。
HPはこちらです。
発達支援交流サイト はつけんラボ – 発達支援交流サイト (hatsuken.or.jp)
その人になりきってみる
なぜ、そんなことをするのか??その行動の理由は何なんだ??と、私の脳みそがフル回転で考えるのですが、OtherやObserveと視点を変えて考えてみても、これがなかなか難しい。「相手の立場に立ってみる」って、こんなにも難しい事なのかと。
あえて言うと、我々健常と思っている人々は、「おもんばかる」とか「察する」とか、「相手の立場に立って」などと、想像力を活用して、仮説を立てて人間関係を調整して、何となく他者と自分に折り合いを付けながら暮らしているわけですが…。
それは、現代の世の中の大多数が定型発達と言われるタイプの人間が多く、(だからこっちを定型という…)その似た認知と思考タイプの人同士での仮説の立て合いなので、通じる事が多い…というだけの事。
発達障害の人の特徴に「場の空気が読めない」とか「人の気持ちがわからない」とか言いますが、それは、認知と思考のタイプが違うので、想像しても仮説がなかなか一致しない問事ではないかと思い至りました。平たく言うと「読み方が違う…」「読むポイントが違いう」という感じ。
今回、逆SSTに参加して、私は全く正解できず、カスリもしませんでした(笑)逆さにしてみれば、私は「人の気持ちがわからない」人間です。
パターンで考えようとするのは同じことだった。
自閉領域の人々の学習の過程や行動について「パターン化する」とか「パターンで考える」なんて言いますが。「逆」を体験して、行動の理由を理解したいと思った時…
私もパターンで学習しようとしている!!
自分の事はさておき、相手に理由を求めがちな思考に気が付きました。大きな気づきです。「分かり合う」という事の本質的で大切な部分の気づきを頂きました。
支援者として「正解したい」という欲望
さらに、これが私の大発見!
日頃から発達障害と言われる人と、それ以外の人との「通訳者でありたい」という気持ちで業務に取り組んできました。「分かり合う」「知り合う」って大事だって言ってきました。しかし、問題に取り組んでいるときの私の思考は
「あなたの事を理解したい」ではなく「支援者として正解したい!」
だったのです。なんという身勝手な欲望!!自分でもびっくりしました。20年以上「支援」という立ち位置にいると、染みついているというか、錯覚してるというか…
自分の「支援者としての在り方」を確かめながら、この世界に根差していきたいと、改めて考えた時間でした。
自分のバイアスに気づく
逆SSTの効果は、相手の事を想像するという行動をきっかけに、自分の思考や認知を見つめるところから切り込んでいくところで、社内の啓発研修などにも効果が期待できると思います。「支援者」という立場での体験も、発見があって楽しいかと。
楽しく取り組んで、「え~!!そーなの~!!」と盛り上がって、互いの理解が深まるなんて、とても素敵だと思いませんか??
ご興味がある方は、ぜひご一報ください!
シチロカソーシャルデザインでは、企業での相互理解のセミナーなども行っております。支援者向けの支援力のブラッシュアップセミナーも開催しております。お気軽にご相談ください。