作業所を「職場」に。

B型施設のブランドプロデューサーを拝命致しました!

福祉作業所の事をご存じでしょうか?現在の社会のしくみでは「就労継続支援B型事業所」と言います。

障がいのある方が通ってきて日中の活動をします。クッキーやパンなどを作っていたり、内職的な作業をして「工賃」という名のお給料を稼ぐのです。

1ヶ月、一生懸命働いて…月の平均工賃は16,000円程度です。びっくりですよね!?交通費と昼食代払ったらマイナス…なんてことも…。

その現状を何とかしたくて、「工賃倍増計画」なんていうプロジェクトもあったりするのですが、なかなか変わらないものです。最近では、Web関係の業務を作業にすることで、受注単価を上げる事が出来、10万円越え!なんていう事もあるようですが…

今回、私がお伝えしたい「作業所」は、Webのスキルがあるとか、PCで文書作成ができる…ではなく、地道に手作業で、コツコツと丁寧なお仕事をする人たちが多く通う「作業所」です。

作業と仕事・工賃と給与

冒頭から「作業所」と何度も書きますが、現在の制度上の正しい表記は「就労継続支援B型」です。福祉サービスの一つであり、通ってくる人々と作業所は「利用契約」を結びます。「雇用契約」ではありません。なので「給与」ではなく「工賃」と呼びます。「給与になると「最低賃金」という決まりがありますので、月給16,000円はあり得ません。でも、工賃なので「最賃」からは外れます。

仕事ではなく「作業」 給与ではなく「工賃」この言葉の指し示すニュアンスが、どうも気になってしょうがないのです。

支援者の本業は支援

だからと言って、安い労働力として仕事をしてもらっていいと言っているわけではありません!なんとか、たくさん工賃を渡したいと、職員も一生懸命に頑張っているのですが…

支援者は支援のプロです。マーケティングやブランディング、ものと情報があふれる世の中で、選ばれる商品を作り、それを世に送り出して成果を出すことを、支援と両立していく方が難しいのです。

最近の国の方針としては、”良い作業所”を評価するために「どれだけ工賃を払っているか」を基準にしています。確かに、税金で運営していますので、大切な事だと思いますが、金額が全てでしょうか?と言いたい気持ちもしていますが…

月16,000円は…時給200円~300円は…確かに!なんとかせねばならぬ!!といつも思ってます。

目的は、健やかに生きる事

「障がい者も納税者に」とか、「受け取るばかりではなく、社会に還元していく存在に…」というようなフレーズがあります。私も15年ぐらい前には、確かにそうだな~と思った時期もあります。

お涙ちょうだいで買ってもらうような商品ではなく、経済のサイクルの一つとなって、その商品力で選ばれる…そんな商品を作りたい!私たちだって、やればできるんだ~!的な反骨精神もあったかもしれません。

若かった…ですね。

今は違います。お客様に選ばれる商品を作ることは、商いとして重要ですが、一番大切にしたいのは、健やかに生きて、人生をゆたかにしていくこと。人として尊重される環境で、自分も周囲も大切にしながら、そこに役割があり、生きていく為に必要な糧も得られる。そんな場所と仕事を作りたい。ていねいに作り、良さを伝え、適正価格で商いをして、人並みの給与を得て、健やかに暮らす。この循環を作りたい。

その為には月額16,000円ではダメなんです!

Social designにできる事

コツコツと手作業で、地道に取り組み続ける人々が、そのまま、ありのままで生きる姿は、なんというか、心を打つものがあります。

私が取り組むのは、そんな彼らのストーリーを皆さんにお伝えすること。それができる仕組みを現在仕込み中です!

それに先駆けて、築地にある就労継続支援B型事業所のブランドプロデュースを任せて頂けることとなりました。商品や販路拡大もそうですが、福祉を福祉だけにとどめず、彼らのありのままの姿で誰かを感動させ、一人ずつ愛してくれる人が増えていくような…緩やかで穏やかな場所にしていきたい。

適度な重なり合いで、誰もが暮らしやすい社会を創る。

そんな初めの1歩を踏み出しました。

シチロカソーシャルデザインは、企業で勤める「はたらく」だけでなく、みんなの「はたらく」にエールを贈ります。