【開催レポート】クリスマスダイバーシティーセミナー 講演:熊谷晋一朗 氏 2023年12月25日

2023年12月25日 港区芝浦にあるNECネッツエスアイ本社にて、熊谷晋一朗氏の講演を含む、ダイバーシティーセミナーを開催いたしました。

当日は、オンラインとリアルと併せて200名以上の方にご参加頂き、盛会に終える事が出来ました。少し時間が経ち、改めて振り返りレポートしたいと思います。

企画の想い

しびれるタイトル!!!“つながりの作法”同じでもなく違うでもなく…

障がい福祉の世界にいると「壁を壊す」とか「乗り越える」とか‥‥この手の表現をよく目にするのです。若いころは、共感というか、そんな気もしていました。でも今思うのは…「いやいや‥‥、ゆうても、個は個だし。私とあなたは、あきらかに違う人・・・・」という想い。そんな葛藤の時に読んだ本。

「つながりの作法 同じでもなく、違うでもなく・・・・」

そう!それ!同じなんだけど、違うんだけど…全く違うわけではないけど、まったくおんなじでも無くて…。じゃ、何なんだい?!ってのを表現してくれたタイトル。

そして、逆SSTの面白さや気づきを、いろんな人に知って貰いたい!

熊谷先生のお話しを聞いて、まずは頭で考えて理解のストレッチ。その後、体験の逆SSTで「腹落ちさせる」これだ!!!!!!!って、ワクワクしながら企画しました。

自立と自由というカオス…。

私は5歳の息子にいつも言うのです。「できることは自分でやって…」。

できる事の範囲や種類を増やす事で「自立」に導いているのだと思って(信じて)そう言うのです。

人は一人では生きていけない…と言いつつ、できることは自分でやる、その範囲がある一定の広さになってこそ「自立」が達成できる。そう思っているから、できる事を最大限に拡大させようと、それこそが自立だと信じてそう言っている(と思うのです)。

20年越えの私の支援の歴史においても、そのマインドは強く、できる事を増やす。楽しい事も、うまくいかない事も、何事も経験!転ばぬ先の杖よりも、転んだら痛い事を知っている方が強く、起き上がれることを知っていることがしなやかになる。そんな機会をつくらねば…。だから、がんばるんだ!チャレンジするんだ!経験を増やそう!できることを増やそう!ってアレコレ必死にチャレンジする(一緒にする)方針を強く持っていました。良いか悪いかは謎ですが、それがきっと道を開くと信じていたのです。

でもその端っこで、うっすら浮かび上がる気持ち。

本当にそうなのか???

「自立」を追求していると言いつつ、「自由」を探していたような…その奥には、出来ないことが多いと「不自由」だと思っている様な…つまり、自立と自由が混沌としている状態であった様に思います。「支援」という活動を通して、その「不自由」という言葉の恐怖から逃れたかったのかもしれない…という気もしています。

自立の対義語は…?

熊谷先生のお言葉に「自立とは…」の問いのアンサーフレーズがあります。対義語というよりアンサー、「こたえ」という方がしっくりくることば。

「自立とは、依存先をふやすこと」

健常といわれる私たちは、つい何でも自分で出来ているように錯覚します。しかし、どうでしょう、衣食住、一から独りで賄えるものがあるでしょうか?

よく考えてみると、できる、できない、する、しない…の選択を繰り返しており、「出来ない」「しない」時にはその代替え手段を準備しているだけだと、熊谷先生は教えてくれました。

ほんまや…(笑)

つまり、代替え案をいくつ持っているか…できるかもしれないが、それをあえて「しない」という選択ができるのが、現代を生きる「人間」が手に入れた素晴らしさでもあるんだ。その時の依存先が多ければ多いほど「自立」に近づくのだと…。

多様な人が多様に働く

前述の「自立」の定義を前提として、多様な人が多様に働くために必要な条件についても触れて頂きました。中でも印象的だったのが、

「自分も含めて、誰もが完ぺきではないと自覚しておくこと」

わかっている様で、そうは思っていない自分にハッとしました。特に、上司と部下という関係性においては、上司が自分も完ぺきではないと自覚し、自分の苦手を開示していくことが大切だと…。

確かに、上司として~!とか、示しがつかない~とか…そんな気持ちや恐れって、多くの人が持っていると思うのです。「上司」といわれる皆さん、ぜひ、その恐れ、手放していきましょう!

手放せない…何からしていいのか分からない方は、弊社がサポートさせていただきますので、お気軽にお問合せ下さい!

腹落ちさせる体験セッション

逆SSTをリアル会場参加のみなさまにご体験いただきました。

写真左側の「大内さん」が、会場からの質問に答えていくのですが、「過集中」という言葉を使った質問に対して、大内さんの答えが印象的でした。

「集中しているかもしれないけど、『過』ぎているかどうか…思いながらいるわけではない。でも、客観的に見てそういわれれば、そうかもしれないが、自分としては、『過ぎているつもりはない』」と。

「発達障害という事は、過集中があるに違いない…」という支援サイドのバイアス。何をもって「過」というのか…そんな気付きをまたもらえた時間でした。

シルミルコーナー

福祉やいろんなサービスを知ってツナガル交流ブースも作りました。クリスマス開催という事もあり、どこも素敵な商品をそろえて頂き、会場も華やかに。

当事者の方々が起業した事業紹介ブースもあり、まさに、多様な人が多様に活躍できる空間となりました。写真は、みんなで熊谷先生のお話を聞いている後ろ姿。

皆にわかりやすい記録

「アクセシビリティ―」というにはまだまだ工夫が必要ですが、より多くの方々に分かりやすく、でも堅苦しくなくお伝えしたく…。グラレコ書いてもらいました。

耳で感じて描くグラレコ。素晴らしい才能!!ご協力頂きました、グラレコ奈美さん!本当にありがとうございました!

お客様のお声

最後に、ご参加頂いた皆様からのお声を少しですが紹介させていただきます。

貴重な機会をありがとうございました。一般社会は、マジョリティ仕様に作られているからこそ、健常者は、依存先が既にたくさん用意されていることにすら気づいていない、という先生のお話に深くうなずいていました。依存先を増やすことは、権力を持っている側の人間が主体性をもって取り組んでいくことであり、そのプロセスにおいて当事者の皆さんと協力して取り組んでいくことの重要性を改めて学ぶことが出来ました。

障がい枠一般枠関係なく、職場内の人間関係を円滑に変えられそうな策を熊谷先生のお話から得ることができ大変勉強になったのと、また勇気づけられるような内容でした。ありがとうございました。

よくある障害者雇用のセミナーとは、全く違う切り口で、本当に、話を聞けてよかったです。

ほかにも、たくさんのポジティブな感想をお寄せ頂きました!ありがとうございました。

企業の方だけでなく、はたらく当事者、一緒に働いている人、支援の人、ご家族…あらゆる立場の人にお集まりいただきました。立場や役割はみんな違いますが、同じ時間、同じ空気を共有している間は、役割も立場も関係なく、「人」として先生の話を聞き、逆SSTを体験できたのではないかと…。

そんなステキな時間を共に過ごせて事、皆さまと「つながり」を感じられたことに感謝し、貴重な体験を大切にしていきたいと思います。また、会場の準備、運営、その他様々お力添え頂きました、NECネッツエスアイの皆さまにも心から感謝申し上げます。

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アンケートにもありましたが、シチロカソーシャルデザインでは、「よくある障がい者雇用のセミナーとは全く違う切り口」でのセミナー企画なども承っております。

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